3月に入ってもまだまだ房総の酒蔵から新酒が出荷されています。御宿町の岩瀬酒造からしぼりたて生が出荷されたとの情報を千葉県酒造組合のホームページで見つけ、早速バイクを走らせました。「♫月の沙漠をは〜るばると〜」で有名な御宿海岸は何度も訪れたことがある場所です。
御宿の砂浜にある有名なラクダの像と月の沙漠の歌碑 |
そもそも何でここが砂漠?との思いをずっと持っていましたが、「砂漠」ではなく「沙漠」が正しいんですね。ラクダ像のすぐ近くにある月の沙漠記念館に初めて入ってみました。ここは月の沙漠を作詞した加藤まさを(1897年〜1977年)に関する展示が中心です。いろいろ物議を醸した「ふるさと創生事業」で建てられた施設だそうで、展示内容に比べて入館料400円はちょっと高め。「沙」には砂浜の意味があるそうです。病気療養のために御宿に滞在していた詩人・画家の加藤まさをが御宿の砂浜をモチーフに作詞したのが月の沙漠だとのこと。水のないただの砂だらけの砂漠とは違うんですね。
月の沙漠記念館前の加藤まさを像 |
海風が強く、絶え間なく波が押し寄せる砂浜にはたくさんのサーファーがいました。バイクを長時間潮風に当てていると錆びそうなので、そそくさとJR御宿駅近くの岩瀬酒造を目指します。
強い海風が吹き付ける御宿の砂浜 |
前回岩瀬酒造を訪れたのは2015年5月です。その時は蔵の中も静かで、事務所兼売店にも人はいませんでしたが、今回は大勢の人が働いています。バイクでやってきた変な客に代わる代わる声をかけてくれました。やっぱり新酒の時期の酒蔵は活気があって楽しいですね。
敷地に入って最初に目につくのは煙突と藁葺き屋根の母屋です。この母屋の梁は慶長14年(1609年)にメキシコに向かう途中御宿沖で難破したスペイン船サン・フランシスコ号の帆柱が使われているそうです。乗組員373名のうち生き残った317名は御宿の人たちに救助され、翌年江戸幕府の船で無事にメキシコに渡航できたとのこと。最近映画化されて有名になった和歌山県串本町に伝わるトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事件と同じようなことがここ房総の御宿でもあったんですね。知りませんでした。
母屋は藁葺き屋根、歴史がうかがえる岩瀬酒造 |
事務所兼店舗には販売されている酒がずらりと並んでいます。どれも見ているだけでヨダレが出そうですが、お目当ては3月に出荷されたばかりの限定しぼりたて生です。
ずらりと並ぶ酒に目移りしそう |
蔵の人にお願いして「岩の井」純米吟醸と「岩の井」純米にごりのしぼりたて生を持って来ていただきました。どちらもしぼりたての生酒です。瓶詰め直後に冷蔵保存されたものを購入しました。瓶詰めされたばかりの生酒を手に入れられるのは、やっぱり酒蔵を直接訪問する醍醐味です。
しぼりたて生「岩の井」の純米にごりと純米吟醸 |
好きなバイクでツーリングを兼ねて酒蔵を訪問し、しぼりたての生酒を買って帰れるなんてなんという贅沢でしょう。試飲できないことだけが唯一の心残りですが、初めて飲む酒の味に思いを巡らせながらバイクで家路を急ぐのもまた乙なものです。
帰宅後に早速「岩の井」純米にごりの方から開けてみました。横にして持ち帰れない活性酒ではないので炭酸が噴き出すようなことはありませんでしたが、澱が醸し出す甘みに溶け込んでいる炭酸のかすかな刺激が加わりしぼりたて感全開です。クセがなく飲みやすいため、チビチビやっていたら五合近くも飲んでしまいました。やっぱりしぼりたて生は危険です。旨いからって飲み過ぎ注意ですね。
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