少し前から「ひやおろし」の出荷が佳境です。その年の冬から春にかけて出来上がった新酒を蔵で熟成させながら夏を越し、涼しくなった秋に火入れせずに瓶詰めして出荷する酒が「ひやおろし」です。豊穣の秋にふさわしい豊かな味わいが楽しめる酒で、この季節しか飲めません。丁度買い置きの日本酒が底をついていたので、9月にひやおろしが出荷された香取郡神崎町の鍋店(なべだな)をバイクで訪ねました。ここは以前電車で「発酵の里こうざき酒蔵まつり」に来た時に立ち寄った蔵です。
大きな駐車場がある鍋店(なべだな) |
だいぶ涼しくなってきました。たまたま夏用のメッシュジャケットしか手元になく、高速道路で風に吹かれると寒そうです。高速道路へのアクセスが便利な場所にいるため、大した距離はなくても房総の酒蔵巡りについつい高速道路を使ってしまいます。考えてみれば往復の高速料金だけで、純米酒が一升買えるくらいかかります。もったいないので今回は一般道を走って神崎町を目指しました。
途中、成田市滑川にある龍正院に大型観光バスが止まっているのが目に入り、立ち寄ってみました。ここは滑河観音(なめがわかんのん)の通称で知られ、坂東三十三観音霊場の第二十八番札所になっています。巡礼者姿のお年寄りが大勢来ていました。入り口にある仁王門は国の重要文化財に指定されています。高速道路を使っていたら見つけられない場所ですね。
滑川の龍正院 |
この鍋店は千葉の酒蔵の中では大手です。船橋や津田沼などのスーパーにも商品が置いてあります。ただし季節限定品は家の近所ではなかなか手に入りません。やっぱり蔵元に直接買いに行くに越したことはないと思っていました。なにしろそこで醸造し、そこで瓶詰めしているのですから。
奥には広い敷地に沢山の蔵や煙突が見えます |
しかし、お目当ての「ひやおろし」はもう置いてないと言われ大ショック。瓶詰めした後はすぐに販売店に出荷してしまうそうで、蔵元にはほとんど在庫はないそうです。確かに、蔵元に直接買いに来る客は少ないでしょうね。冷蔵保存が必要な酒ですから、蔵に置いておくよりも販売店で保管してもらった方が合理的な気もします。鍋店は成田山の参道に蔵元直営店を持っていますので、そちらであれば手に入ったかもしれません。
気を取り直して店舗内の銘柄を物色しました。ここの代表銘柄は「仁勇」と「不動」です。蔵元ですから10月に瓶詰めされたフレッシュなものばかりが並んでいます。どれを選んでも旨そうなものばかり。
どれもこれも旨そうな酒が並んでいて悩みます |
蔵の初心者としては二つの代表銘柄の純米吟醸を選択しました。「不動」の純米吟醸は2015年のインターナショナルワインチャレンジで銀賞を受賞したそうです。日本酒もワインのコンテストの一部門になっているんですね。
店内で吟醸辛口「ぎんから」を見つけました。銚子の小林酒造場で「ぎんから」を購入後に勉強した銘酒開発協同組合の統一銘柄がここにも。売店の女性にそのことを尋ねてみましたがご存知ないようでした。
どちらも純米吟醸、旨そ〜 |
純米吟醸酒を二本も購入してしまいましたが、高速料金が不要だったことを考えると出費はいつもと変わりません。一升瓶二本の持ち帰りに使ったのはいつもの「ツーリングお土産トートバッグ」です。大切な日本酒二本と共に無傷で帰宅です。
勝手に「房総の地酒」を応援するTVコマーシャル風動画を作ってみました
房総酒蔵バイクツーリングのインデックスはこちら
千葉にある約40軒の蔵元を順に巡っています。青色の酒蔵マークをクリックすると該当する投稿記事にジャンプします。
鍋店の純米吟醸酒飲んでみました
まず不動の純米吟醸からやってみました。さすが純米吟醸です。すっきりとした飲み口で、どんな場面にも合う味です(どんな時でも飲みたいだけとも言えますが...)。熱過ぎる燗以外はどんな温度でも大丈夫。その時の気候に応じて楽しめます。一番のお気に入りはそのまんまのコップ酒というのが酒好きを物語っています。
(2015年10月26日追記)
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