2015年10月10日土曜日

安価な小型GPSロガー(CANMORE GP-102+)も工夫次第で十分使える


 GPS機器はスマホが流行るずっと以前から試行錯誤して利用してきました。今では、登山でガーミンのe-Trex 30Jを、サイクリングでは同じくガーミンのEdge-800Jを、バイクにはユピテルのMCN-46siを使用しています。それぞれ活躍する場所は異なりますが、移動した軌跡や速度、標高などのデータを軌跡ログとして記録する機能を持っています。各アクティビティの専用機として売られているものですから、防水性や耐震性、レーダー受信など専用機としての特長を備えていますが、いかんせん高価です。5〜8万円以上しますので、おいそれと買い換えられませんし、落下や盗難などにも気を使います。

 GPSと電子地図を活用しながらオリジナルのサイクリングルートを見つけて楽しむ方法を電子書籍「谷津道探検サイクリング」にまとめるにあたり、もう少し安価なGPS機器も評価してみました。中国メーカーの小型GPSロガー(CANMORE GP-102+)を秋葉原で4,000円ほどで購入。現在はAmazonにも5千円ちょっとで出品されているようですが、それでも専用機に比べて十分の一以下の値段です。

小型のCANMORE GP-102+

メーカーのホームページで仕様を確認すると、
  • サイズはマッチ箱くらい、重さは40g
  • 防水(IPX6)
  • 充電式バッテリー内蔵で17〜20時間稼働
  • GPS機能以外に気圧高度計、磁気コンパス、温度計、万歩計などを装備
  • インターフェースは充電も兼ねたUSB-mini端子
と、スペック的には大したものです。電子書籍執筆時は高価な専用GPS機器を買わなくてもこれで代用が可能かどうかの基本的なテストしか行いませんでした。犬の散歩の時にポケットにこの小型GPSロガーを入れておき、帰宅後専用ソフトで軌跡ログを表示。十分な精度があることを確認したのみです。専用ソフトはWindows版しかなかったため、それ以後は仕舞い込んだままでした。

 バイク用のナビをレーダー機能付きのユピテルMCN-46siに交換してから、GPS軌跡ログの保存や活用が面倒になってしまい、バイクでの軌跡ログを利用しなくなっていました。先日、紅葉真っ盛りの那須岳にツーリングする際にこの小型GPSを思い出し、本格的なテストをしてみることにしました。
  • ジョギングやサイクリング、登山などのアクティビティを選べますので車(ドライブ)を選択
  • ログの取得ルールなどの設定は初期値(時間、5秒間隔)のまま
  • 満充電してからGPS記録を開始して、その後一日バイクジャケットの胸ポケットへ放り込んだまま
というものぐさなテストです。6時間ほどの記録を取得しましたが、バッテリーの残量計は半分以上残っている状態でした。これならば一日行動しても持ちそうです。取得できた軌跡ログをWindowsの専用ソフトでGPXファイルに変換し、ルートラボで表示したものが下の地図です。バイク旅行の行動記録としては十分実用になります。



MacユーザーのCANMORE GP-102+活用事例


 Windowsパソコンも持ってはいますが、普段使用しているのはMacです。このGPSロガー、安価なためか用意されているログビューアーや変換ソフトはWindows版のみです。Macだけでなんとかできないかいろいろ調べてみました。

ログのファイル形式は?


 Macに本体をUSB接続すると充電が開始されますが、GPSロガーの電源を入れるとUSBマスストレージ接続になりメモリーの中を覗けます。Activitiesフォルダーの中にGPS軌跡ログがしまわれているようです。

FinderでCANMORE GP-102+のメモリー内容を表示

覗いてみると.fitという拡張子のファイルが存在します。どこかで見たことのある拡張子だと思ったら、ガーミンのGPS機器にも同じ拡張子で記録されていました。(アイコンがGIMPになっているのはご愛嬌)

どうやってMacのみで利用する?


 ガーミンと同じ拡張子.fitが付いているということは、もしかしてガーミンの豊富なユーティリティソフトがそのまま使える?という淡い期待を抱きつつテストしてみました。もしそうであればMacのみでGP-102+を活用するという目標をいきなり達成です。
  • まずGarmin Training Centerにfitファイルを読み込ませてみました。見事、エラーもなく読み込み完了。しかし表示された地図をよくよく見ると途中までしかありません。往路・復路の二つのログで確認してみましたがどちらも途中で終わっていました。
  • 次にGarmin BaseCampでやってみましたが、そもそも.fitファイルはインポートの対象外でした。
  • 現在メインで使用しているWebサービスのGarmin Connectも試してみました。手動でアップロードをすることができます。.fitファイルも対象になっていますが、アップロードしようとすると"undefined"というエラーが出てしまいました。
全く読み込めないわけでもないので、どこか一部がガーミンのものと異なるのか、単なるGPSロガー側のバグなのか分かりませんが、どうも上手くきません。今回の軌跡ログの使用目的は、アクションカメラで撮影した紅葉の中のツーリングシーンにGPSのデータを合成表示することです。使用するソフトはガーミンがVIRBユーザーのために無償で提供しているVIRB Edit。ものは試しにVIRB Editに.fitファイルをそのまま読み込ませてみました。結果はビンゴ!です。一日分の軌跡が表示されました。

VIRB EditにGP-102+のfitファイルを読み込ませたところ、軌跡全体が表示されてます

同じガーミンのソフトなのに読めるものと読めないものがあるのはなぜ?という疑問は消えませんが、とりあえずGPSデータを合成した動画編集という目的は果たせそうです。

 ただし、Googleマップやルートラボなどの他の地図ソフトで活用するためには汎用フォーマットであるGPXファイルなどへの変換も必要になります。Macで動く良い変換ソフトを探してみたらGPSBabelというフリーソフトを見つけました。

GPSファイル変換ソフト GPSBabel

あまりにも多くのファイル形式をサポートしているようで、まだ使いこなせていませんが、とりあえず格安なGP-102+で記録したGPS軌跡ログを汎用のGPXファイルに変換することができました。これでMacのみでこの小型GPSロガーを活用することができそうです。
 安価で小型のためポケットやバッグに入れておけば新しい活用方法も見つかりそうです。ログの取得間隔などの調整は必要でしょうが、この値段でGPS情報を活用できるなんて素晴らしいですね。



GPSデータの間引きが必要な時にもGPSBabelは役に立ちます


 欲張って西沢渓谷と丹波渓谷の二カ所を一日で巡った紅葉バイクツーリングは11時間以上の移動となりました。胸ポケットに入れっ放しのGPSロガーは毎秒位置を記録していましたので総計38,000以上のトラックポイントがGPSデータとして保存されていました。このGPSデータを地図で公開しようと思い、ルートラボにアップロードしましたが上手く行きません。いろいろ調べてみると、ルートラボでアップロードできるトラックポイントの上限は4,000ポイントまでのようです。

 一秒毎に記録されたGPSデータを間引いてサイズを縮小してやる必要があります。調べてみるとフォーマット変換のためにダウンロードしたGPSBabelがデータの間引きにも使えることがわかりました。上のGPSBabelのメイン画面で「Translation Options」にある「Filters」を押します。すると変換時に適用する色々なフィルターを選ぶ画面が現れます。

フィルターの選択画面

ここで左の「Routes & Tracks」を選択し、右の「Simplify」をチェックしてから最大のトラックポイント数を指定すればOKです。これで4,000トラックポイントにまでデータが間引きされ、ファイルサイズも十分の一ほどになりました。地図上に表示してみると、38,000ポイントのGPSデータとほとんど変わりません。上手に間引いてくれています。これは使えます。無事、ルートラボに11時間、400キロのロングツーリングの記録をアップロードできました。

(2015年11月6日追記)


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