前回(その1)ではバイクを走らせる部分まで作成しました。このままでも検定コースのルート説明だけであれば使用可能ですが、バイク免許の検定試験ではウィンカーの点灯タイミングやブレーキの使い方なども大変重要な評価ポイントになります。せっかくの解説アニメーションですので、できるだけ情報を詰め込むためにウィンカーやブレーキランプにも動きを加えていきます。
1. 左右ウィンカーを点滅・ブレーキランプを点灯させる
作成したバイクのイラストには本体以外に左ウィンカー・右ウィンカー・ブレーキランプの三つのレイヤーがあります。モーションパスを適用されたグループとしてバイク本体と一緒に動いていますので、点滅するためのビヘイビアと光っているように見えるフィルターを適用してやればそれっぽく見えるはずです。
1-1. 左ウィンカーに「反復」ビヘイビアを適用
「反復」ビヘイビアは特定のパラメータを指定した周期で繰り返し変化させるものです。変化の仕方もサイン波のように徐々に数値が変わるものから、矩形波のように瞬時に最大から最小に変わるものなどいろいろあります。ウィンカーレイヤーの「不透明度」を0%と100%の交互に変化させてやれば黄色いウィンカーが点滅しているように見えるはずです。
まず左ウィンカーレイヤーを選択し、ツールバー右側のビヘイビア(歯車マーク)を押します。出てきたメニューから「パラメータ」、「反復」を選んで適用します。
左ウィンカーに「反復」ビヘイビアを追加し点滅させる |
左ウィンカーの下に「反復」と書かれたレイヤーが現れました。「インスペクタ」、「ビヘイビア」を開くと「反復」で調整可能なパラメータが現れます。ここで「波形」を「矩形」に、「速度」を最大の100にします。
反復のパラメータを調整します |
さらにこの「反復」の効果がどのパラメータに適用されるかを指定します。一番下の「適用」が「なし」になっていますので「対象」、「情報」、「ブレンド」、「不透明度」を選択します。
「反復」の効果が適用されるパラメータを指定 |
これで左ウィンカーに「反復」の効果が適用されました。再生ボタンを押してみてください。動くバイクと共に左ウィンカーのみが点滅しています。
1-2. 左ウィンカーに「光線」フィルターを適用
このままでもウィンカーの点滅のように見えますが、もう少し光っているように工夫します。Motion 5が持っている「光線」フィルターを左ウィンカーに適用します。左ウィンカーレイヤーを選択し、ツールバーのフィルターを押します。「グロー」、「光線」を選べば完了です。
左ウィンカーに「光線」フィルターを適用 |
黄色いウィンカーが少しぼやけたように変化しました。見え方を変えたい場合は「インスペクタ」、「フィルター」を開いてやればパラメータを調整できます。
1-3. 右ウィンカー・ブレーキランプに「ビヘイビア」や「フィルター」をコピー
ここまでで左ウィンカーのみ点滅するようになりました。右ウィンカーでも同様の操作をすればできますが、内容は左と同じです。そのような場合はビヘイビアやフィルターをそのまま新たな適用先にコピーできます。
まず左ウィンカーレイヤー下の「光線」と「反復」レイヤーを選択しコピー(command + C)します。次に右ウィンカーレイヤーを選択してからペースト(command + V)すれば右ウィンカーも左と同じ状態になります。ブレーキランプには「光線」のみをコピーしてください。
左ウィンカーのビヘイビアとフィルターをコピー |
この状態で再生すると、ずっと左右のウィンカーが点滅しブレーキランプが光ったような状態でバイクが走っています。
1-4. 左右ウィンカーやブレーキランプの点灯タイミングや継続時間を調整
左右ウィンカー、ブレーキランプを必要な箇所で点灯するようタイミングを調整します。少し根気のいる作業になります。Motion 5画面の右下にあるタイムライン上ではウィンカーもブレーキランプも最初から最後まで点きっぱなしの状態です。まず一〜二秒程度の長さまで左端をドラッグして時間を短縮します。さらにウィンカーやブレーキランプを点け始めるタイミングにドラッグして移動します。タイムラインの再生ヘッドを動かしながらコースマップ上の点灯・消灯タイミングを確認して位置と長さを調整します。一箇所が終わればそれをコピー&ペーストして、また別の場所の点灯・消灯を調整していきます。この作業を繰り返します。ちょと根気が必要でした。
左右ウィンカー、ブレーキランプの点灯タイミング・時間を調整 |
右左折の手前30m、進路変更の三秒前という基本ルールに従いながらも地図の縮尺やバイクの速度がいい加減ですから、自動二輪車安全運転講習で教えて貰った合図のタイミングを思い出して決めました。
2. Motion 5で動画を書き出し、編集ソフトで仕上げる
オープニングタイトルをつけたり解説文を入れたりの最終編集は使い慣れた別ソフトで行うことにしました。Motion 5でも仕上げまで行える機能を持っていますが、速度調整がバグのせいかうまくいかなかったため使い慣れたFinal Cut Pro X (FCPX)にバトンタッチです。
2-1. プロジェクトの継続時間を必要な長さに変更
Motionプロジェクト作成時に継続時間を三分にして作業を始めました。すべてのパスを作成してみると二分ほどで一周できましたので、書き出しは二分で大丈夫です。プロジェクトのアウト点を変更して動画の終わりを指定します。
タイムラインにあるアウト点の三角形を左にドラッッグして継続時間を調整します。バイクがゴール位置に到着した一〜二秒後にアウト点を持っていけばいいと思います。
作成した動画の終わりを指定する |
2-2. 作成したプロジェクトを動画ファイルに書き出す
他の動画編集ソフトに渡すため、一旦動画ファイルに書き出します。作業用ファイルとしてさらに編集・再圧縮されますので、できるだけ品質の落ちない圧縮形式で書き出します。
メインメニューの「共有」、「ムービーを書き出す」を選択。YouTube投稿用の動画ですが、この段階ではH.264圧縮ではなくApple ProRes 422程度の品質で書き出します。ファイルサイズは大きくなりますが、FCPXに読み込んだ時の品質が格段に良くなります。「継続時間」を「プロジェクト全体」から「再生範囲を使用」に変更して次へ進み、ファイル名を指定して書き出しを行います。
書き出しの際に圧縮方法と継続時間を指定 |
2-3. 他の動画編集ソフト(FCPX)で仕上げ
アニメーションの素材動画はすでに出来上がっていますので、使い慣れた動画編集ソフトで仕上げを行います。BGMやオープニングタイトル、字幕はいつも通りの編集作業ですが、その前に一時停止やスピードアップの時間制御を行います。
FCPXであれば「リタイミング」コントロールを使用して必要なクリップ部分を増速したり、静止したりできます。この時間制御が終わってから他の編集作業を進めましょう。
3. 完成した幕張の大型自動二輪検定コース(1、2)
実際の検定試験前にはコースマップに自分なりの注意事項を書き込み、それを見ながら何度も頭の中でイメージトレーニングを繰り返しました。アニメーション動画であればさらに動きや位置、タイミングのイメージがしやすいのではないかと思います。これから幕張の運転免許センターで大型にチャレンジされる方々に少しでも役立てていただけたら幸せです。
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