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2017年1月30日月曜日

快適バイク生活 いつの間にか消えていたライディング中の膝の痛み


 三十数年ぶりにリターンして四年ほど経ったオヤジライダーです。リターンした当初、ライディング中の膝の痛みに悩まされました。特に、寒い時期に長距離を走っていると、必ず右膝に我慢できないほどの痛みが出ます。当時は、頻繁に休憩して脚を伸ばすことくらいしか対策のしようがありませんでしたが、その後ウェアやライディングポジション、発進・停止時の運転操作などを徐々に見直していく中で、気付いたらほとんど膝の痛みが出なくなっていました。同じような悩みをお持ちのライダー諸氏の参考になればと思い、やって見た膝の痛み対策をまとめてみました。


膝の痛みは血行不良から、その根本原因は?


 冬場に感じることが多い膝の痛み。寒さによる血行不良が原因かと考えて、まず初めに色々な防寒グッズを試しました。ネオプレーンゴム製のニーウォーマーで局部的に防寒してみたり、オーバーズボンで脚全体の保温性を高めたりしてみましたが効果は無し。寒さは血行不良を促進こそすれ、その根本原因ではなさそうです。

1. 脚(膝)を動かさないことが一番の原因


 法事などで長時間正座していると、立ち上がれなくなるくらい脚が痺れ、膝が痛くなります。同じ姿勢をずっと続けることがバイク乗車中の膝の痛みの原因ではと考えました。長時間のバイク乗車で膝が痛くなった時に、休憩して脚を伸ばしてやると楽になることと合致します。

長時間膝を折り曲げたままだと血流が滞る

では、なぜ右足の膝ばかり痛むのか? リターンしてしばらくの間は、教習所で教えられた通り停車中も右足はブレーキペダルを踏み続けて、着地は左足しか使っていませんでした。シフト操作も含めて、脚を使う動作は左足に比べて右足の方がかなり少なくなっています。特に高速道路などを走行している時に顕著です。楽なクラッチ操作を目指して右足着地のままの発進を頻繁に行うようになってからは右足の出番が増えてきたとともに、右脚を伸ばす機会も増えました。

右足着地のまま発進を行うことも増えて、右脚の出番が増えた

2. プロテクターが膝の血流を妨げている


 車と違い、生身の体を晒して走っているバイクですので、プロテクターの重要性は理解しています。ウェアの外側に取り付けるプロテクターであれば影響は少なそうですが、ウェアに組み込まれたプロテクターは、長時間の乗車でウェアがずれてくると膝を圧迫してきます。特にオーバーパンツは、停止毎に脚を上げ下げしていると裾がずり上がり、それにつられてプロテクターが膝を圧迫します。下の写真左側の縦長のプロテクターなどは、運転中常時折り曲げられていますので、膝への圧迫がずっと続いている気がします。

よくあるタイプの膝プロテクター二種

このプロテクターによる膝への圧迫が血流を妨げていることは間違いないようです。余裕のあるパンツサイズやプロテクター形状に変えるとだいぶ楽になりました。

3. ペダルが自分の体格に合ったポジションになっていない


 試乗会などで自分のバイク以外に乗ると、ブレーキやシフトペダルのポジションが合わず、足首を無理に曲げて乗らなければならないことがあります。短時間ですからあまり問題は起こりませんが、長時間これを続けるとかなり脚に問題が出ます。足首が疲れたり、脚がつったります。シフトに比べて動かす頻度の少ないブレーキペダルは、特に自分に合っていないポジションだと脚への負担が大きいようです。ポジションが合わないからと、つま先を大きく外側へ向けたまま運転していると、非常時にブレーキ操作が遅れてしまう危険もあります。

ブレーキペダルのポジションは自分の体格に合わせないと疲れる

左足の方はシフト操作の度に足先をひねったり、足首を曲げたりするため、右足に比べてよく動いています。そのお陰か、今まで左脚の膝に痛みが出たことはありませんが、ブレーキに比べれば遥かに操作頻度の高いシフトペダルですので、是非ポジション調整はしておきたいものです。

よく操作するシフトペダル側は膝への影響は少なそう

自分のバイクを手に入れたら、真っ先にペダルのポジションを自分に合わせることが大切です。足首に力を入れていない自然な状態で、ペダルに足先が触れるか触れないかの位置に調整してやると、乗車中の脚への負担が格段に減りました。

4. 走行風が脚や膝を冷やしている


 リターンして最初に乗ったバイクはネイキッドのCB400SFでした。スリムなボティで、なおかつカウルがないため、走行風が脚に直接当たっていたようです。冬場のツーリング時には脚が寒くて我慢できませんでした。分厚いオーバーパンツを履いていましたが、その厚みがかえって膝の血行を阻害していたようです。長時間のツーリング時には膝の痛みは避けられませんでした。

 三年前にCB1300SBに乗り換えましたが、その頃から脚の冷えがほとんど気にならなくなりました。バイクを前方から見ると、ラジエーターやクランクケース、ハーフカウルで乗車中の脚は見えません。これらが走行風を弾き、直接脚に風が当たらないようです。

前から見ると脚が見えない大型バイクは脚に風が直接当たらない

冷たい走行風が直接脚に当たらないことにより、パンツの重ね着が減りました。その結果、膝を圧迫して血行不良を引き起こすようなことも減ったものと思います。

カウルやタンクのお陰で脚に風が当たらないため、冬場にジーンズでも結構大丈夫


さて、いつまで乗れることやら


 膝をできるだけ動かすようにしてやり、できるだけ膝を圧迫しないように心がけ、そして膝の冷えをできるだけ避けるようにしているうちに膝の痛みを感じることがほとんどなくなりました。それでも冬場に高速道路を長時間走り続けたりすると痛み出すことがありますが、そうなったら諦めてSAで休憩し、屈伸運動するようにしています。

重たいバイクの取り回しはいつまでたってもおっかなびっくり

 いい歳をして大型バイクにリターンしたものですから、取り回しも含めておっかなびっくりです。この先、バイクに慣れていったとしても体力は衰える一方でしょうから、いつまで大型バイクが楽しめるのかわかりません。日々体力を使わないバイクの乗り方を心がけて、ライダー寿命を伸ばそうと悪戦苦闘しています。


2017年1月27日金曜日

快適バイク生活 自作電熱ウェアを実環境で性能試験しました


 先日やっと完成させた出費1,650円の自作電熱ウェアの性能試験を実施しました。バイク雑誌やブログなどに掲載される電熱ウェアの評価レポートは、使用者の主観的な感想が中心になっていることが多く、なかなか複数のレポートを比較検討できません。できるだけ数値を用いた客観的な評価を心がけました。複数の温度ロガーを用いて、ウィンタージャケット内外の温度差を計測し、その保温性能を推定するという方法です。同様の手法でバイク用グローブの保温性能ブーツの保温性能の測定も実施済みです。


まず通電後のシートヒーター表面温度を計測


 実際にバイクで走りながらのテストを行う前に、自宅で通電テストを行いました。走行中に火傷などしたら命に関わりますので、慎重に。電熱ベストの上にウィンタージャケットを着込んで、12Vを供給します。

自作の電熱ベストを着た上にウィンタージャケットを重ね着(かなり怪しい姿)

シートヒーター表面に熱電対型の温度計を接触させて、経過時間と温度を記録しました。応答特性の良い熱電対型温度計は素早くヒーター表面の温度を計測できます。

実際の使用環境でヒーター表面の温度を測定

体温で温められ、ヒーター表面温度が35℃の時に電源オン。10℃上昇して45℃になったのは6分30秒後でした。その後は温度の上昇速度は低下し、23分後に約50℃に達して平衡状態となりました。このテスト時の室温は約20℃です。電熱ヒーターとしての温度上昇速度や最高温度はかなり控えめな数値です。実際に屋外で使用するには少しパワーが足りないかなという心配が残りました。


京葉道路の無料区間を周回しながら性能評価


 この時期、バイクに乗っていて寒さがこたえるのは日没後の高速道路走行ではないでしょうか。本当は早朝が一番寒いのですが、私の場合そんなに朝早くバイクに乗ることはまずありません。今回も日の暮れた夕方6時から京葉道路の無料区間を周回しながら自作電熱ウェアの性能評価を行いました。

 ウィンタージャケットの外側についている胸ポケットに入れた温度ロガーで外気温を計測、自作電熱ベストの内側に着ているカッターシャツの胸ポケットに入れた温度ロガーで内部温度を測定しました。ヒーターが測定器に接触しないようにセットします。使用機器や測定方法については別記事「冬用ジャケットの保温性能を数値で計測できるか」を参照してください。測定結果をグラフ化したものがこれです。サービスエリア内で夕食をとっている時以外は外気温は終始9℃以下、夕方8時過ぎには5℃以下の冷え込みとなりました。

京葉道路を周回しながらジャケット内外の温度を計測

 お気に入りのPOWERAGEウィンタージャケットは高い保温性能を持つインナーが付属しています。電熱パワーを使わなくても、外気温が8度程度の時に内部温度は30度以上を保っています。しかし高速走行で連続して風を受けていると、ジャケット内部の温度だけでは表せない寒さを感じます。脚や腕からの冷えが、じわじわと寒さを感じさせます。ジャケット内部温度も少しずつですが下がり始め、辛くなって来た18時52分に自作電熱ベストのヒーターに通電を開始しました。

 通電開始からじわじわとジャケット内部の温度が上がり始め、外気温が今までで最低の5℃を記録した時に、ジャケット内部は最高の37℃となっていました。内外温度差は32℃です。以前、電熱パワー無しの状態で計測したジャケット内外温度差の最高は20℃でしたから、これは驚異的な温度差です。もちろんジャケット内部の全てがこの温度になっているわけではありません。計測する場所で大きく異なりますが、前回20度の内外温度差を計測したのと同じ場所での値です。一枚あたり3Wと控えめな定格値のヒーターですが、サイズが大きく体へ接する面積が広いため、4枚のヒーターからの熱が上半身全体に伝わります。さらに、エンジンがかかっている時のバッテリー電圧は13V以上あることがほとんどです。12Vで3W仕様のヒーターですが、実使用時にはもっと発熱しているはずです。外気温5℃での高速走行という厳しい状況にもかかわらず、上半身だけはポカポカでした。市販品に比べて低いスペックですが、出費1,650円で作成した自作電熱ウェア、十分使えます。


バイクからの給電方法には注意が必要


 日常的に電熱ウェアを安全・快適に使用するには、バイクからの給電方法にも注意と工夫が必要です。アマチュア無線機やナビの電源を取るためにシート下に配電ボックスを設置していますので、そこから電熱ウェアにも電力を供給しています。

シート下に配電ボックスを設置済み

大きな電流が取り出せるようにバイクのバッテリー端子から直接持ってきて、安全のためにヒューズを経由しています。無線機にノイズが回らないようにフィルターを入れ、メインキーと連動するようにリレーを入れてあります。バイクのキーがオフの時にも、テスト用に電源が取れるようにスイッチも設置しました。自動車のアクセサリーポジションと同じですね。ここまでやらなくても、バイクから電源を取る際には安全のためのフューズと確実な接続のためのコネクターは必須です。

バイクに設置してある配電ボックスの回路図

この配電ボックスから自作の電熱ベストまでは二本のコードで接続します。一本はシート下の配電ボックスからガソリンタンク上まで。もう一本がガソリンタンク上のコネクターからベストのコネクターまでの接続用です。二本に分けることにより、乗り降りするときの接続、切り離しを容易にしています。

バイクから電熱ベストまでの接続ケーブル、二本に分離

強力な磁石を貼り付け、傷がつかないように布テープを巻きつけたDCジャックをガソリンタンクにくっつけておけば乗り降りの際に簡単に脱着できます。

配電ボックスからタンクまでの配線(磁石でDCジャックを固定)

乗車の際にはカールコードを使用したもう一本のケーブルで、タンク上のDCジャックと電熱ウェアのプラグを接続します。カールコードは多少高価ですが、かなり伸び縮みしてくれるので安心して体を動かせます。

タンクから電熱ウェアまではカールコードで接続

転倒時に接続コードが邪魔にならないように、電熱ウェア故障時にエンジン停止などが起こらないように、細心の注意が必要です。


自作電熱ウェアの要改善点


 厳しい実環境での性能試験の結果、自作の電熱ウェアでも十分実用性のあることがわかりました。ただし、試作品として作成しましたので、改善すべき点はたくさんあります。

  1. 完全にオフにするスイッチが必要

    モーター用のスピードコントローラーを温度制御用に流用しましたので、消費電力を完全にゼロにすることができません。別途電源をオン・オフするスイッチを入れる必要があります。

  2. コントローラーをきちんと納める

    電熱ベスト下にブラブラさせているコントローラーをきちんと固定してやる必要があります。

  3. 両面テープが剥がれる

    発熱体を接着するようにできていないのか、カーペット用の両面テープが剥がれてきます。別のタイプの両面テープが必要なようです。次の改善項目とも関係してきますが、両面テープで貼り付けるのではなく、ベストに設けたポケットにヒーターを納めるような構造にすれば完璧です。

  4. ジャケットを脱いだ時にも違和感がないようにしたい

    メッシュ状の黄色い反射ベストの内側にシートヒーターと配線コードが透けて見える構造ですので、休憩中にジャケットを脱いだら実に怪しい風体となります。下手をすると自爆テロ犯に間違えられそうな格好です。見た目の改善が必要です。


 配電ボックスやコード類がすでに用意済みだったこともあり、1,650円の出費で出来上がった自作電熱ウェアは十分満足できる性能を発揮してくれました。市販品が1〜2万円以上の費用がかかることを考えれば満足な結果ですが、脚や腕の寒さにはまだ対応できていません。これ以上を求めるならば車に乗ればという声も聞こえてきそうですが、バイクで少しでも快適に走りたいという欲求を満たすため、今後もアイディアと努力を惜しみなく注いでいきたいと思います。


2017年1月24日火曜日

快適バイク生活 本格的な寒さを迎えてやっと完成した自作電熱ウェア


 朝晩は氷点下になるほどの寒い日が続いています。だいぶ前にパーツだけ買い集めて、そのままになっていた電熱ウェアの自作を、必要に迫られて再開することにしました。一昨年冬に購入したPOWERAGEのウィンタージャケットがなかなか良い保温性能を示していたため、なんとか電熱ウェアなしでも昨年の冬を越せましたが、今年の冬はやばそうです。


自作電熱ウェアで使用した材料はこちら


 まずは一番大切な発熱素材。よく行く秋月電子八潮店をぶらついているときに見つけたシートヒーターです。少し硬めですが、縦25.5cm x 横10cmで体に装着するにはちょうど良い大きさです。消費電力が3Wと少し控えめながら、価格は一枚300円とお手頃。ジャケット用に4枚(背中に2枚、胸に2枚)使用することにしました。

秋月電子で見つけた一枚300円のシートヒーター(コネクターは変更済み)

 温度制御のためのコントローラーも同じく秋月電子で見つけたモーターのスピードコントローラーが使えそうです。7〜30Vの入力電源で5AまでのPWM制御が可能です。これで価格がなんと250円。自作品ではとてもこの価格には収まりません。

秋月電子で見つけたPWMハイパワーDCモータースピードコントローラ

 ヒーターをどのようにウェアに貼り付けるかで使い勝手が変わってきます。テストの意味合いもあるため、ウィンタージャケットに直接貼り付けるのではなく、かさばらないベストのような構造にすることを目指しました。見つけたのはこれ。100円ショップで売っていた反射ベストです。シートヒーターを貼り付けるために同じく100円でカーペット用の両面テープも購入しました。

100円の反射ベストとカーペット用の両面テープ

 配線用の電線はシートヒーターに付属していた長い電線を切って再利用。接続用のギボシ端子(オス・メス・カバー)と電源へ接続するためのDCジャックは買い置きしてあったものを使っていますが、新たに購入しても2〜3百円もあれば大丈夫です。

配線材料はシートヒータの電線の余りと手持ち部品で準備


PWMコントローラーの動作確認


 身につけて使う発熱体の制御用ですから、ちゃんと動作確認をしてから使うことにします。12V電源とヒーターを接続した状態でPWM制御がちゃんと働くかオシロを使って確認です。

オシロと周波数カウンターでPWMの動きを確認

コントローラーのボリュームを「1」にセットした時の波形はこちら。142HzのPWM波形が出ています。デューティー比は30%程度ですので、一枚あたり定格3Wのヒーターを1W以下まで弱めることができます

最弱の「1」にセットした時のPWM波形(Duty 30%程度)

ボリュームを徐々に大きくして行くとONの時間が伸びていき、目盛り「5」の時の状態がこちら。デューティー比は80%程度です。さらにボリュームを回すとカチッと音がして100%(連続通電状態)になります。その状態でフルパワーの3Wです。

ボリュームを「5」にした時のPWM波形(Duty 80%程度)


インナーベスト式の自作電熱ウェアを組み立て


 格安なモーター用のPWMコントローラーでヒーターの発熱量を制御できることが確認できましたので、いよいよ組み立てです。100円の反射ベストの内側にシートヒーター4枚をカーペット用両面テープで貼り付けます。

カーペット用の両面テープで反射ベストにヒーターを貼り付け

硬めのシートヒーターですので、ライディングポジションを取ったときに違和感の出ない位置にヒーターをセットします。さらに普段寒さを感じやすい場所も考慮すれば完璧です。4枚のヒーターを全て並列になるように接続してコントローラーの出力にギボシ端子で配線していけば、作業はあっという間に完了します。

3Wのシートヒータ4枚で12Wのパワーとなる自作電熱ウェア

反射ベストの生地は網目状になっていますので、タイラップを使って電線やコントローラーをベストに仮止めしておきます。本格的なセットは実践テストが終わってからやり直します。

コード類がブラブラしないようにタイラップでベストに仮止め


1650円で自作電熱ベスト完成


 さあ完成です。一番時間がかかったのは配線コードやシートヒーターにギボシ端子を繋ぐ作業でした。ここは専用工具があれば確実で時間の節約にもなります。接続コードの準備さえ終われば後は超簡単。ヒーターの位置調整も何度でもできます。手持ち部品以外で購入したものは以下の材料で、締めて1,650円(税別)也。安い!
  • シートヒーター(面状発熱体)12V 3W@秋月電子 ¥300 x 4
  • PWMハイパワーDCモータースピードコントローラ@秋月電子 ¥250
  • 反射ベスト@ダイソー ¥100
  • カーペット用両面テープ@ダイソー ¥100

自作電熱ベストを身につけた上にウィンタージャケットを着る

とりあえずコントローラーはベストの下からブラブラ状態ですが、丈夫そうなのでテスト期間中はこのままで行きます。気をつける必要があるのは、コントローラーの外側に電力制御用のFET(半導体部品)が裸のままで付いていることです。これが12V端子などに触れると故障しますので、テープなどで必ず絶縁しておく必要があります。3Wのシートヒーター4枚を並列に接続していますので、合計12Wになります。温度が低い時は若干消費電流が増えると秋月電子のホームページにも書いてありますが、それでも合計20Wは超えていないようです。この程度であればバイクから電力を頂戴しても大丈夫でしょう。

 実際のバイク乗車でのテストに先立ち、室内で使用していますがポカポカです。最大パワーでは暑いくらい。バイクでのテストは後日、温度ロガーなども利用して数値で効果を確認したいと思います。バイク側には12Vアクセサリー端子をシート下に設置済みですので、後は寒い日にこの自作電熱ベストを着て出かけるだけです。楽しみだ〜(^ ^)

ご注意

火傷やバイク電装系のトラブルなどの恐れがあり、全て自己責任で行っています。良い子は真似をしないでください。



自作電熱ウェアの性能試験を実施しました


 日没後の高速道路(自動車専用道)を周回しながら自作した電熱ウェアの性能試験をしてきました。最低気温が5℃を切る状況でしたので、しっかりとしたウィンタージャケットを着ていても寒さが身にしみる状況ですが、電熱ウェアのおかげで上半身だけはポカポカでした。

(2017年1月27日追記)


2016年12月16日金曜日

快適バイク生活 ブーツの保温性能も測定してみた


 いよいよ寒さも本格的になってきました。日中の温度が10℃以下の予報が出ていた日を選んで、ブーツの保温性能を計測してみました。先日、グローブの保温性能を測定した結果、内外の温度差が2〜3℃程度しか無く驚きましたが、ブーツ内外の温度差はどの程度あるか楽しみです。普段ライディング中に使用しているブーツはバイク専用品ではありません。雨の日にも使えるバイク用のブーツも持っていますが、かなりごつくて重いため、いつもは普通のブーツを履いてバイクに乗っています。

使用している普通のブーツ(バイク用ではありません)

カジュアルなバイク用ジャケットと組み合わせれば、バイクを降りてそのまま買い物などに出かけても違和感はありません。この一番利用機会の多いブーツで測定してみました。


測定方法はグローブの場合と同じ


 グローブ内の温度測定にあたり、狭い場所でも測定可能な熱電対型の温度ロガーを購入していましたので、今回もそれを利用します。センサー先端が直に体温を計測しないように、念のため布を巻いてから使用しているのもグローブの時と同じです。

線の先がセンサーになっている熱電対型の温度計

測定する場所は、ブーツ内のつま先部分の空間です。シフトペダルに比べて動きが少ないブレーキべダルを操作する右足の指先周辺の温度が測れるようにセットしました。

つま先部分の空間の温度を測定

温度ロガー本体は運転操作の邪魔にならないように靴下の中に押し込んでしまいました。ズボンに隠れて外からは何も見えなくなります。

温度ロガー本体は靴下の中にすっぽりと収納

外気温の方は、ジャケットの胸ポケットに別の温度ロガーを入れて外気が入り込むようにしました。これでブーツ内外の温度を同時に測定します。


グローブに比べればはるかに好条件のブーツ内


 指先一本一本を個別に包むグローブは、熱を外へ逃がしてしまう表面積も大きくなる上に、細かな操作を行う必要があるためにあまり厚くできません。それに比べてブーツは足全体を一つの空間に収められますし、それほど細かい操作を行う必要もありませんから、素材の厚みもかなり自由です。少し考えただけでも、グローブに比べれば保温性に関してははるかに良い条件に恵まれています。その条件の良さが測定結果にどのように現れているのか、分析してみました。

なかなかの保温性能を示したブーツ

5°C前後の内外温度差を維持


 スタート直後や暖かい室内にいるとき以外は、ブーツ内外の温度差は概ね5°C以上を保っています。これはグローブの2〜3°Cの温度差に比べればはるかに良い結果です。最大では11°Cもの温度差がありました。内部の温度が15°Cを切ると、少しつま先が冷たいなと感じますが、我慢できないほどではありません。テスト中、外気温が最低の8.5°Cを記録した時にもブーツ内部は15°Cを保持していました。

冷えてきたら足を動かすのが効果的


 ブーツ内温度が下がって、つま先が少し冷たいなと感じたら、足を動かしてやるといいようです。足の指を動かしながら足全体を靴の中で後ろへずらすようにすると、風が当たって冷えやすいつま先部分の空間が広がります。動かない空気層(デッドエアー)の厚みが増し、より断熱・保温効果が高まるようです。外気温の変動に比べてブーツ内の温度変化が激しいのは、足を動かしていたためだと思われます。

さらに寒くなっても対応は可能


 テストでは綿の靴下一枚しか着用していません。保温性の高いウールの靴下などを使用すれば、さらに寒くなっても十分対応可能だと思います。気をつけなければならないのは、何枚も靴下を重ねてつま先部分のデッドエアー空間を損なわないようにすることです。スキーや冬山登山の時と同じですね。

 グローブの他に、冬用ジャケットの保温性能も測定してきました。真冬にバイクライディングを楽しむためには、まずジャケットで体幹の温度を維持し、さらに指先を保温するのが重要なようです。


2016年11月24日木曜日

快適バイク生活 冬用グローブの保温性能は数値で計測できるか


 いよいよ本格的な冬の足音が近づいてきました。ツーリングの目的地によっては、厳冬期の冬支度をして出かけないと後悔することになります。先日、冬用ジャケットの保温性能が数値で計測できるかどうか試してみましたが、今回はグローブのテストにチャレンジです。

テストに使ったグローブ、左から冬用グローブ・レイングローブ・革グローブ

重ね着で調整できる上下ウェアーとは異なり、グローブは基本的にそれぞれの製品の性能に依存します。いろいろなタイプのグローブをいろいろな外気温でテストしてみたいのですが、先ずは温度計測の手法や測定値の評価方法が妥当性のあるものかどうか確認するため、朝から一日中10℃前後の気温予報が出ていた今にも雨が降り出しそうな日にテストを行いました。


狭い場所の温度が計測できる熱電対型温度ロガーを入手


 指定時間間隔で温度を測定し、時刻と温度をメモリーに記録してくれる温度ロガーを前回冬用ジャケットのテストの際に入手しましたが、これは温度センサー内蔵型のためグローブの指先のような狭い場所には入りません。外気温を記録するために、今回は一本をジャケットの胸ポケットにセットしました。

温度センサー内蔵のデータロガー

グローブの指先の温度を測定するために、長いコードの先にセンサー部がついている熱電対型の温度ロガーを入手しました。標準で付属するセンサーは長いステンレスの棒で覆われていて、これをグローブに入れると指が曲げられません。センサー部がむき出しになっている熱電対を売っていましたので、これを別途購入しました。

熱電対型の温度ロガー、センサー部は色々選べる

センサー部がむき出しのままでは人の肌に直接触れてしまい、グローブの中の空気の温度ではなく人の体温を計測することになってしまいます。

むき出しの熱電対センサー部

直接肌に触れないようにカバーをしてから計測に使用しました。

むき出しの熱電対センサー部にカバーをして使用

このセンサー部をグローブの中の左手中指、上側にセットしました。ナックルガード等は取り付けていませんので、バイクで走行中始終風の当たる部位です。

手袋内、左手中指の真ん中あたりに温度センサーをセット

コードを通してジャケットの内ポケットに入れた温度ロガー本体にデータが記録されることになります。


外気との温度差が意外に小さいグローブ内部


 計測は一般道で行いました。連続で高速走行をすれば、さらに厳しい条件のテストが行えると思いますが、それは次の機会に。この日はずっと曇り空のため、日差しの影響はないと思います。三種のグローブを取り換えながら、ほぼ11〜12℃の外気温の中を走って、グローブの内側の温度を測定したものが下のグラフです。冬用ジャケットのテスト結果では、内外の温度差が6〜13℃程度あったのに対して、今回のグローブでは2〜3℃程度とかなり小さくなっているのがわかります。

 外気温を計測している温度ロガーはセンサーが筐体内部に入っているため、外の温度変化が少し遅れて現れます。それに対して、熱電対型は素早い応答性を持っているため、外気温の変化よりもグローブ内の温度変化が先に現れています。

グローブ内部の温度と外気温のグラフ(単位は℃)

冬用グローブでも風を受ければ内部の温度はどんどん下がる


 初めは冬用グローブです。室内に置いてあったため走行当初は内部も高い温度を示していましたが、走り始めるとどんどんと温度が下がっていきます。2℃ほどの内外差で安定したようです。グローブ内温度13℃では指先が冷たく感じますが、我慢できない温度ではありませんでした。ジャケット内とは異なり、グローブ内の温度はかなり低いことがわかりました。

スリーシーズン用の革グローブは保温性はほぼゼロ


 続いて、道の駅で暖をとりながらスリーシーズン用の革グローブに交換しました。休憩中、グローブから抜いた熱電対センサーをジャケットの袖口に押し込んでいましたので、一気に20℃近くまで跳ね上がっているのはそのためです。
 走り出すとグローブ内外の温度差はほぼ無くなりました。わかってはいましたがスリーシーズン用の革グローブに保温性はほとんど無いようです。指先がかなり辛い状況で計測を続けました。

自らの発熱が少ない手にはグリップヒーターが有効


 革グローブでの走行がかなり辛くなってきたため、グローブをしたままコンビニで小休止してから、グリップヒーターをオンにして革グローブの計測を続行です。

手の発熱量はとても少ないため、それを補うグリップヒーターは有効

ヒーターが温まってくると、薄い革を通して手のひらが温まってきます。指先の温度も冬用グローブを超え、だいぶ楽になりました。短い手首部分から風が入ってくるので快適とは言えませんが、外部の熱源の助けを借りて血行が良くなったのか、風を受けている指先も寒さを感じません。薄手のグローブで操作性も問題なく、風の侵入さえ防げればこの組み合わせは悪くはなさそうです。書類を書く必要のある白バイ警官は、冬でも薄いグローブとグリップヒーターで走っていると聞きましたが、これならなんとかなりそうです。

ゆとりのある手袋は暖かい


 最後にレイングローブをテストしてみました。雨の日はめったに乗らないので、このグローブもほとんど出番がありません。交換当初は冷えていないグローブと暖かさが残っているグリップの影響で一気に温度が上がりました。走り出すと内部の温度は下がっていきましたが、それでも冬用グローブと同じ程度の内外温度差は保っています。レイングローブ、結構暖かい。このグローブ、少し大きめで操作性が若干劣るのですが、内部に豊富な空気層ができているようです。雨の侵入を防ぐ構造のため、風の影響も少なく結構保温性が高いことがわかりました。


本当に問題となるのは外気温5℃以下


 暖かいと言われる千葉県でも1月、2月の日没後は外気温が氷点下になることもあります。冬用グローブが本領を発揮しなければならないのは外気温が5℃以下のシーンではないかと思います。まだ出番はありませんが、持っているグローブの中で一番厚手なのがPOWERAGEの冬用です。もう少し寒くなったら、このグローブでも計測してみようと思います。

厚手のPOWERAGE冬用グローブ

厚みがあるため操作性が犠牲になるのですが、背に腹はかえられません。これでも外気温5℃以下で走っていると指先が冷たくて痛くなります。グリップヒーターを併用しても、グローブの厚みが邪魔をして余り暖かさを感じません。グリップヒーターの使用を前提とした場合は、手のひら部分が薄手で風の当たる甲の部分が厚手のものを選んだ方が効率的かもしれませんが、そんなグローブは見たことがありません。これ以上を求めるのなら、グローブ内部を直接温める電熱グローブしかなさそうです。


次はブーツ内外の温度計測かな


 ネットでは冬のライディング中につま先の冷えを訴える人が多いようですが、私はあまり気になりません。特別な靴下をはくわけでもなく、普通のブーツにいつもの靴下一枚で乗っていますが、我慢できないほどの冷たさは感じません。多分、つま先に余裕のあるブーツを選んでいるせいだと思います。十分な空間にとどまっている空気(デッドエアー)は高い断熱効果があります。その辺の仕組みを今回入手した熱電対型温度ロガーを使ってブーツ内外の温度計測をしてみようと思います。



グリップヒーター用グローブもあった


 その後ネットで探してみると、グリップヒーター使用を前提としたグローブも売っていました。手のひら側はグリップヒーターからの熱を伝導しやすくするために薄く、手の甲の方は風よけと断熱のために厚く作られています。副次的な効果として操作性も向上するみたいです。実物を是非試してみたいものです。

(2016年12月10日追記)


2016年11月2日水曜日

快適バイク生活 冬用ジャケットの保温性能を数値で計測できるか


 冬場にリターンした親父ライダーとしては、どんなに寒くてもバイクには乗り続けたいと考えています。幸い雪の少ない千葉県在住ですので、ウェアなどを工夫すれば真冬でも十分にバイクを楽しむことができますが、日が暮れて外気温が0度近くなるような時期には相応の装備が必要です。


POWERAGEの冬用ジャケットを愛用してます


 耐寒性能はもとより、目的地での活動のしやすさや普段着としても着用できるカジュアルデザインなどの検討を重ねて、たどり着いたのが今使っているPOWERAGEのウィンタージャケットです。

カジュアルなデザインのPOWERAGEの冬用ジャケット

いかにもバイク用ですといったデザインではないため、普段の外出着としても利用しています。それでいて冬の高速走行にも耐えられるように強力なインナーが脱着可能になっています。

このインナーはとってもあったかい

昨年購入し、一冬このジャケットでなんとか過ごすことができました。他に充電池式の電熱ベストを持っていますが、昨冬は使わずに済みました。


バイクウェアの保温性能を調べてみる


 革のジャケットやごついバイク専用ウィンタージャケットも持っていますが、どの程度の保温性能があるのかを客観的に調べたいと思っていました。電子工作が趣味で、マニアの間では有名な秋月電子にもたまに出かけます。先日、温度を計測してメモリーに記録する「温度ロガー」なるものを店頭で見つけ、二つも購入してきました。

指定した間隔で温度を計測&記録する「温度ロガー」

太いペンくらいの大きさで、ポケットなどに入れておけます。指定した時間間隔で温度を計測し、その時刻と測定値をメモリーに記録し続けてくれます。誤差は±1度、0.5度の分解能があります。この温度ロガーを冬用ジャケットの外側と内側にセットしてバイクを走らせれば、ジャケットの保温(断熱)性能が数値で計れるのではないかと考えました。

 実際には、POWERAGEのアウターシェルについているポケットと肌着の上に普段着ている長袖ポロシャツの胸ポケットに、それぞれ温度ロガーを入れました。今回はジャケットに付属していた厚手のインナーは使用せず、ユニクロのフリースをアウターの下に着用しています。

二つの温度ロガーをアウターとポロシャツのポケットに入れるだけ

アウターのポケットは生地が薄手で、しかも風が入り込むため、保温機能はなさそうです。つまり、ここでは外気温を計測しているのと同じような値が得られるはずです。対して、肌着の上に着ているポロシャツの胸ポケットに入れた温度ロガーは、普段着を取り囲む空気層の温度を計測してくれることを期待してのテストです。心配なのは体温が温度ロガーに直接伝わってしまうことです。恒温動物の体温は外気温の変化に対して、できるだけ一定温度を保とうとします。計測したいのは体に一番近い、ジャケット内部の温度で、体温ではありません。とりあえずどんな結果が出るのか試してみました。


日光中禅寺湖へのツーリングで計測テスト


 本格的な冬はもう少し先です。外気温が10度以下の環境で保温性能を計測したいと思い、紅葉見学も兼ねて日光の中禅寺湖へ行ってみました。一昨年の秋にも紅葉ツーリングに行きましたが、その時は寒くて震えていたことを思い出します。当日は風もなく、気温も出発時には20度近くもありましたが、中禅寺湖を過ぎて更に高度を上げて走っていたら、最低温度11.5度を記録しました。自宅から出発し、半月山駐車場を目的地として、帰宅するまで30秒間隔で温度を計測しました。

冬用ジャケット内外の温度記録

ジャケットの外側と内側では同じような温度変化が見られますが、外側が大きく下がっても内側は24.5度を一度も下回りません。半月山駐車場で外側が11.5度の最低を記録した時も、ジャケットの内側は25度を保っていました。内外の温度差は6度以上を維持していて、最大では13.5度となりました。SAで食事をしている時に温度差が小さくなっていますが、これは室内で暑かったので、ジャケットのジッパーを開けていたためです。ジャケット内部温度25度では、走行中ほとんど寒さを感じませんでした。内外の温度差13.5度という数値がどの程度の保温性能を表すのかは経験不足で分かりませんが、他のジャケットや外気温の異なる時期に計測を繰り返せば、冬用ジャケットの暖かさの基準が見えてくると思います。


本格的な冬にもう一度計測予定


 今回は、POWERAGEジャケットに付属していたインナーは使っていません。羽織るだけでポカポカと暖かくなる強力なインナーですので、本格的な冬にどの程度の保温性があるのか計測してみる予定です。

真冬に使用しているグローブ

 さらに、手袋やブーツ、オーバーパンツ内外の温度差を計測してみたいと思っていますが、ジャケットと異なり測定器を入れるためのスペースがありません。熱電対と呼ばれる細い棒状のセンサーが付いた温度ロガーを売っていますが、手袋の指先部分などはどのように計測すればいいのか.... ちょっと趣味の領域を超えてしまいそうな予感です。



狭い場所も測定できるセンサーを入手してグローブも測定


 グローブの指先にもセットできるK型熱電対方式の温度ロガーを入手しました。これを使ってバイク用グローブの保温性能も測定してみました。冬用、雨用、スリーシーズン革製の3種で比較テストです。

(2016年12月9日追記)



POWERAGEの強力インナーも測定してみました


 ジャケット付属のインナーを装着して保温性能を測定してきました。インナーを使わずに、フリースを内側に着た前回と比べると、はるかに高い保温性能を示しました。やっぱりこのインナー強力です。

高い保温性能を示したPOWERAGEジャケットの付属インナー

外気温が8.5℃の最低を記録した時にも、ジャケット内部は28.0℃を保持していました。全期間を通して27.0℃を一度も下回りません。昼食や買い物で暖かい室内にいる時を除いて、内外温度差は17〜18℃ほどを維持しています。インナーを使わずにフリースを着用していた時との差は歴然です。高い保温性能を示した冬用ジャケット、頼もしい相棒です。

(2016年12月16日追記)


2016年10月16日日曜日

快適バイク生活 大型バイクをコンテナ保管する時の考慮点


 雨の日でも車やバイクを濡らさずに保管でき、屋根の下で自由にメンテナンス作業ができるガレージは昔からの憧れです。しかし、通勤に便利な東京近郊のベッドタウンに居を構えてしまってからは、高価な土地がそれを許してくれません。趣味性の高い大型バイクを購入してからは、盗難の心配やご近所の好奇の目を気にしながら屋外保管していました。

車と異なり完全に趣味の世界の大型バイク

 近所にバイクコンテナの空きを見つけ、一年半ほど利用して感じた点をまとめてみました。これからバイクガレージの利用を検討されるライダー諸氏の参考にしていただければ幸いです。


ガレージは無理でもバイクコンテナなら


 自宅のカースペースは道路に面していて、出し入れしやすいのですが、人目につきやすく、いたずらや盗難が心配な場所です。アンカーボルトをコンクリートに埋め込み、太いチェーンでバイクのホイールを固定して盗難対策をしていましたが、いたずらやパーツ盗難には効果はありません。駐輪中はカバーをしていましたが、雨が降るとバイクは濡れていましたし、舞い上がる埃からも守れませんでした。

 近所にバイクコンテナの空きがあることを知り、物は試しにバイクをコンテナ保管してみることにしました。一般的に思いつくコンテナ保管のメリット・デメリットは次のようなものでしょう。

コンテナ保管のメリット
  • 雨・埃・直射日光からバイクを守れる(樹脂やゴム製パーツは寿命が延びる?)
  • ヘルメットや手袋、ジャケットなどのバイク用具も一緒に保管可能
  • 屋外保管に比べて安心(但し、コンテナでも盗難の事例はあるようです)

コンテナ保管のデメリット
  • 費用がかかる(その地域の車の駐車場料金と同じくらい
  • コンテナのレイアウトによっては出し入れしづらい
  • 洗車場所を別途確保する必要あり
デメリットで一番問題になるのは費用かと思います。車に比べれば土地の利用効率は高いはずですが、コンテナ代金がかかるため毎月の料金は車と同じくらいになっています。コンテナ保管でリスクが下がると想定して盗難保険をやめたり、洗車回数が減らせたり、ゴムや樹脂製パーツの寿命が延びると仮定しても賃借料を上回る費用効果を期待するのは無理でしょう。やはり他人の目に触れず、いたずらを心配しないで保管できるという安心感が最大のメリットかと思います。


バイクコンテナを探して契約するまでの考慮点


 最近はネットで簡単にバイクコンテナの賃借物件を検索可能です。ただし絶対数が少ないため、なかなか空きは見つかりません。運良く空きを見つけたからといって、慌てて契約してはいけません。先ずは現地を丹念に見てきましょう。

現地に行ってみないとわからないことも多い

先ず、どのような場所にあるバイクガレージなのかを確かめましょう。人家が多く、便利な場所にある場合、車に比べて大きな音が出るバイクは夜間の入出庫制限がある場合があります。24時間自由に利用できるところは、夜間窃盗団が活躍しやすい場所かもしれません。コンテナ保管中のバイクが盗まれた事例は結構あるようですので、コンテナ周辺の環境も重要です。私の場合は契約後に、夜9時以降入出庫禁止であることを知りました。必ず契約前に利用可能時間帯を確認するようにしましょう。

 現地見学でもう一つ重要なのが、コンテナ前の広さや舗装状態、傾斜です。コンテナに向かってバイクを直進で出し入れできるスペースがあるのが理想的です。さらに舗装が綺麗にされていて、傾斜がなければ言うことはありません。都市部にあるコンテナガレージの多くはこの部分が一番問題になります。

コンテナ前のスペースが最重要

私がたまたま空きを見つけて喜んだコンテナは、一番奥でした。ハンドルを切りながらでなければ入出庫できず、さらにスロープがあるため、300キロ近い大型バイクは手押しではとても出し入れできませんでした。上の写真では左側手前の二つであれば、バイクの出し入れは簡単です。一番奥は一番人気のない場所だったようで、それで空きが出たのだと思います。

 バイクの大きさや取り回しの慣れ具合によっては、出し入れの難しいコンテナは避けたほうがいいでしょう。倒したりぶつけたりして、修理に何万円もかかったら目も当てられません。


バイクコンテナ利用中の考慮点


 コンテナを一年半ほど利用して気づいた点もあります。先ず、毎回出し入れには相当気を使います。直進で出し入れできれば問題ないのですが、ハンドルを切りながらの出し入れはかなり面倒です。入庫はまだいいのですが、出庫時には一発では出せません。2〜3回切り返しをして、バイクの向きを変えてやる必要があります。出し入れの際には、特に右側にあるマフラーをぶつけないよう気を使います。

扉の前のスペースが足りないと出し入れに苦労する

 入庫してしまえば、広さはそこそこあります。海外製の大型ツアラーなどにも対応した、もっと広いバイクコンテナもあるようです。サイドスタンドを立てて左に傾けますので、若干右寄りに停止させるのがポイントです。

内部はそこそこの広さあり

 コンテナ内部には棚があり、ヘルメットやグローブなどのバイク用具が置いておけます。ハンガーを持参すれば、バイク乗車中しか着ないメッシュジャケットなどを吊るしておけます。

バイク用具を置いておくスペースもあり

気をつけなければならないのは、そこそこの機密性があり換気システムなどがないため、雨に濡れたバイクをそのまま入庫した場合、内部の湿度が大変高くなります。革手袋などのカビやすいものには注意が必要です。入庫後晴れた日に、扉を開けて湿気を逃がしてやることも必要です。バイクを長いこと湿気にさらしておくのは良くありません。

 契約時にコンテナの扉に取り付ける鍵を貸してくれます。疑うわけではありませんが、使い回しの鍵でしょうから、誰が合鍵を持っているかわかりません。念のため自分の持っている鍵も使ってダブルロックとしています。

ダブルロックの方が安心

 新車で購入したCB1300SBは、最初の一年半はカバーだけで屋外保管でした。その後の一年半をコンテナ保管に切り替えです。洗車の回数は大幅に減りました。雨や埃が直接かからないため、だいぶ汚れにくくなりました。ただし自宅前ではありませんので、そこで水道を使った洗車は出来ません。自宅の水道を使いに行くか、フクピカなどを利用して水道なしのバイク洗車を行っています。


バイクコンテナへの入出庫シーンを動画で紹介


 ハンドルに取り付けたGoProで、バイクコンテナへの入出庫シーンを撮影してみました。とても手押しでは出し入れできないため、エンジンをかけて乗車した状態で出し入れしています。コンテナ前のスペースが足りないと、こうなるという状況がわかると思います。バイクのコンテナ保管を検討中の方々の参考になれば幸いです。


 バイクを使う前後にこのコンテナへの出し入れがあるせいか、走り出すまで毎回心臓バクバクです。先日、バイク運転中の心拍数の変化を計測してみたところ、見事に実証されました。やっぱりコンテナへの入出庫時には相当緊張しているようです。ボケ防止には良さそうですが、やはり出し入れのしやすい自宅ガレージが欲しいところです。